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[20970] Re4:銀英伝のその後の世界削除   返信 
2017/3/25 (土) 06:16:44 徳翁導誉

> 同盟贔屓でも帝国贔屓でも無いのですか?
> それじゃ、ひょっとしてフェザーン贔屓だったり?(笑)

まあ贔屓では無いですけど、強いて1つ選べと言われれば、
個人的に、最も興味深いのはフェザーンでしょうね(笑)。
今では休止中のCGIゲーム「銀河凡将伝説」でも、
フェザーンの商人・宗教・政治といった要素には、そこそこ力を入れて作りましたし。

> 管理人殿は銀英伝のどういった部分を好まれているのでしょうか?
ぶっちゃけて言うと、リンク先にも名があるMIKさんに薦められたからですね。
で、当時たまたまCSでアニメ版の一挙放送があり、見てみたと。
まあ、面白かったから全110話あっても最後まで見られた訳ですが、
ただ、ハマったかと言われると、正直そこまでは行かなかったので、
「声優が実力派揃いだったから」というのが、意外と大きかったのかも?
中国史の舞台を宇宙に持ってきた、架空SF風味の群像劇という認識でしたし。

> 逃亡者のバーラトは管理人殿が言及しているようにスラム街同然ですね。
> 原作終盤のハイネセン大火やルビンスキーの火祭り、ヤン一党のハイネセン脱出などで
> 出た被害からの復興が、ロイエンタールの反乱やオーベルシュタインの草刈りなどの混乱で全く進まず、
> 原作終了時点で経済活動が停止している状態です。
>  (中略)
> 一方の帝国側もやはり管理人殿が言っておられたように貴族制度が復活、
> 7元帥は国家の安定を優先して軍縮や貴族制度復活を支持したものの、
> 軍内部ではクーデターの声さえ上がります。
> 最後の元帥であるミュラーの退役後は実際にクーデターを起こそうとした軍人も出てきますが、
> その頃にはヒルダが中心になって作り上げた官僚貴族制度が整っており、未然に防がれます。

なるほど、そうした経緯であるならば、
バーラトの自治も、新王朝の安定も、どちらも可能かと思われます。

> その後、クーデターを封じられたフェルナー、トゥルナイゼン、ブラウヒッチらが
> 反撃の手段としてバーラトで細々と残る議会制度に着目し、
> 帝国では彼らの主導によって帝国議会が開かれることになります。

この辺は、日本の自由民権運動が下敷きになってる印象ですね。
薩長の藩閥政治により、冷や飯を食わされた土佐などが、
民権運動を利用して、権力に食い込もうとした面が実際ありましたからねえ。
議会開設派のメンツも何だかリアルですし、フェルナーが居るなら運動も成功しそう(笑)。


> 十津川郷というのは坂本竜馬について軽く調べている時に聞いたことがありますが、
> 軽く調べただけでも興味深いですね。
> しかし、辺境の集落に「堕ちた」というのはどういうことでしょう?
> 地租改正の後はよくある山村に落ちぶれたということですかね?
> どうやら元々ほとんど米の取れない地域だったみたいですが・・・

いやいや、十津川郷が辺境の集落に堕ちたという話ではなく、
政治的・軍事的・宗教的な要因も無く、自治権を容認されるには、
バーラトが中央にとって、「無益無害」な存在になる必要があるという話ですね。
有益であれば、カルタゴのように、併合の運命は避けられないので・・・・
で、そうした存在の歴史的な具体例として、十津川郷を挙げてみたと。
「フィクション作品のその後」という、まさに「架空の架空」の話なので、
内容にリアリティーを持たせるべく、あれこれと史実から部分的に引いてみたのですが、
引用先の全体像に引きずられて、却って話を解り難くしてしまったかも? 申し訳ないです。

> 欧州史は多少興味があり、恐らく同世代の中では知識のある方ですが、
> 中国史に関してはほとんど興味を持たずに今まで生きてきたので、後梁について急いで調べてきました。
> 第一印象としては「ちっさ!」ですね(笑)
> やはり、この後梁も銀英伝のフェザーンのように三国のバランスを保つように動いていたのでしょうか?

フェザーンが帝国の一部だったように、
後梁も関中・四川を押さえた西魏(後に北周→隋)の支配下にありました。
ですが都の江陵は、その立地もあって、文化的にも経済的にも発展していたと。
ただ正直な話、外交の両輪は軍事力と経済力なので、「バランスを保つ」と言っても、
その一方(軍事力)を欠く状況では、正直無理なのが現実ですからねえ・・・・
それでも史実に例を探すなら、西域のオアシス都市とか、地中海の都市国家でしょうか?
ちなみに後梁に関しては、『侯景の乱始末記(中公新書)』に1章が立てられており、
できればオススメしたい所なのですが・・・如何せん絶版本なので、図書館を探すしか無いかも?

あと、もしも中国史について知りたいと言う事であれば、まずはコチラを推薦しておきます。
  『中国の大盗賊・完全版(講談社現代新書)』
  https://www.amazon.co.jp/dp/4061497464/
東大で中国文学を学んだエッセイストによる著作ですから、
学術書のような堅苦しさは無く、それでいて史実重視なので、なかなか読みやすいかと。
王朝の開祖を「大盗賊」と捉える事で、中国社会の特徴を日本人にも理解しやすく描き、
しかも登場人物は教科書に出てくるメジャー所ばかりで、新書なので値段も文章量も手頃です。
(とは言え、あくまで保守系文化人による歴史エッセイなので、その点は割り引いて下さい・笑)
まあ中国史にハマる事があれば、戦後日本の歴史学界を代表する大家でありながら、
一般人にも読みやすい書籍の多い、宮崎市定の著作なども薦めたい所がね(笑)。

また、中国の通史を扱っていて、それでいて読みやすい本であれば、コチラですね。
  『小説十八史略(講談社文庫 全6巻)』
  https://www.amazon.co.jp/dp/4061850776/
「十八史略」という、中国がモンゴル帝国に征服される前後の宋末元初に書かれた
文字通り、史記から宋鑑までの正史18書の概略をまとめた本があるのですが、
それを更に、戦後日本を代表する歴史小説家の陳舜臣が、小説化したのがこれですね。
そもそも原作が700年前なので、当然その時代までしか描かれていませんけども、
概略本として読みやすいモノが、陳舜臣の手によって更に面白い作品に仕上がっていますし、
あくまで小説ですけども、陳は宮崎市定の孫弟子なので、内容は決して悪くありません。
実は私も、中国史はこの「小説十八史略」から入りました(笑)。
ちなみに宋以降に関しては、同じく陳作品の「中国の歴史」で一応は補完可能ですし、
「中国の大盗賊」みたいな列伝モノだと、「中国傑物伝(中公文庫)」がありますね。
こちらは王朝の開祖よりも、No.2タイプを中心に16名が扱われていて私好みでした。

って、そう言えば、銀英伝の原作者である田中芳樹にも、
中国史の列伝モノがあるのですが、ご存知でしたでしょうか?
  『中国武将列伝(中公文庫 全2巻)』
  https://www.amazon.co.jp/dp/4122035473/
まあ、作者本人の好き嫌いが全開なので、賛否両論ある作品なのですが(笑)、
銀英伝の読者という事であれば、こちらも選択肢の1つとしてアリかと思われます。
上下2巻で99名も扱っているので、1人1人の記述は薄いですが、
逆に言えば、少ないページ数で網羅的に、中国史の人物を覚えられるかも?


> そもそも欧州の貴族制度自体が複雑でイマイチ分からないんですよね。
> そういう複雑な身分制度とかを見ると何となくワクワクするんですが、結局理解できないと。
> 欧州を扱っていて、簡単すぎず、難しすぎない本があれば教えてほしいです。
> 欲を言えば、伝記物というか物語の体裁を取っているものが良いですね。

求めてる本とは、ちょっと違うタイプかも知れませんが、この作品はどうですかねえ?
  『英仏百年戦争(集英社新書)』
  https://www.amazon.co.jp/dp/408720216X/
歴史小説家として人気のある佐藤賢一によって書かれた、百年戦争の概説本です。
そもそも百年戦争は、「英国王がフランス王位を狙った戦争」と思われがちですが、
その内実は「英国を植民地に持つフランス貴族が、王位継承を争った」モノであり、
日本人にはイメージしにくい、欧州社会における国王と貴族の関係がよく解る内容ですし、
直木賞作家が書いた歴史本なので、一般的な啓蒙書よりも読みやすいのは確かです。
東北大の大学院で西洋史を学んだ人なので、内容もいい加減じゃありませんしね。

この本に、「神聖ローマ帝国」と「ハプスブルク家」(共に講談社現代新書)を加えた
3冊を読めば、中近世の欧州史も結構解ってくると思います。
英仏百年戦争でイギリス&フランス、神聖ローマ帝国でドイツ&イタリア、
ハプスブルク家で中欧・東欧・南欧の歴史がカバーできますからね。
そこに欧州周辺も付け加えるなら、「オスマン帝国(講談社現代新書)」や
「ロシアとソ連邦(講談社学術文庫)」あたりもですかねえ?
欧州と世界の関わりだと、先日読んだこの本は良かったですね。
  『砂糖の世界史(岩波ジュニア新書)』
  https://www.amazon.co.jp/dp/4005002765/
内容が素晴らしかったのは勿論の事、中高生向けに書かれたジュニア新書という事で、
非常に読みやすい文章となっており、皆さんにもオススメしたい1冊でした!!

> イロコイ連邦についてちょっと調べてみたのですが、
> アメリカの連邦制度の原型になっている・・・という話もあるみたいですね。
> アメリカの歴史学界では主流ではないようですが、事実だとしたら興味深いです。
> バーラト自治政府と似ているかといわれると、どうなのでしょうかね・・・。
> バーラト自体、どうなるか分からない部分はありますが・・・。

「バーラト自治政府とイロコイ連邦が似ている」という話ではなく、
「バーラトみたいに生き残った実例って、史実だとイロコイくらいかな?」という話ですね。
逆に言えば、それくらいバーラト自治政府は、現実的に存続が困難な設定を与えられていると。

> 「仮定未来クロニクル」ではイロコイと米国初期の指導者の様に、
> 官僚制度とか、議会制度を帝国に教える側に立っていましたね。

勝者が敗者のシステムを取り入れるというのが・・・まず、なかなか無いですよねえ。
もちろん、中国の征服王朝に代表されるように、
武力で勝る少数派の遊牧民が、高い文明を持つ多数派の農耕民を支配する際は、
そうした実例もあるのですが、帝国と同盟にそこまでの差がある感じはしませんし・・・・
ハッキリ言って、それ相応のメリットが無い限り、なかなか難しい設定だと思っています。


> 敵が居ない=新たな敵を作り出す、というのは私も同感です。
> 万事逃亡者を引用するのも、私としては少々情けないですが、
> そのあたりのことは原作以上に逃亡者では強調されていると思います。

う〜ん、「新たな敵を作り出す」というのも、有効な手段ではあります。
しかしそれは、あくまで政治面での話であって、
敵が居ようが居まいが、あの規模の軍隊を維持すれば財政面で破綻してしまいます。
例えば、ユダヤ人迫害でナチス政権が求心力を高める事は出来ても、
それで軍人たちの腹を満たせる(給料を支払える)訳じゃ無いですからねえ。
常識的に考えて、同盟を占領するだけの兵員を動員したという事は、
小競り合いを繰り返していた時期に比べて、軍の規模も急膨張してるはずなので、
解り易く言えば、そのままなら北朝鮮の先軍政治みたいな状況に陥る訳です・・・・

もちろん、門閥貴族や同盟領から接収した資産を吐き出せば、一時しのぎは可能でしょうけど、
中長期的に考えた場合、収入を増やすか、支出を減らすか、どちらかは絶対必要となります。
要するに、領民に更なる増税を強いるか? 軍人の大規模リストラを行うか?ですね。
それを両方とも避けて、安定した新政権を作るなど、正直言って非現実的なので・・・・
(フィクション作品なので「それでも上手く行った」と言われれば、それまでですが・笑)

> カール・ブラッケ、オイゲン・リヒターがどういう貴族だったのかに関しては
> 原作ファンでも色々な意見がありますよね。
> 私自身、原作を読んで以来、ずっと疑問でした。
>  (中略)
> そして、現在手元に8,9,10巻がありますのでまた読み返したいと思いますが、
> 実際具体的に旧同盟の制度を導入すると明言した記述は無かった気が致します。

「上からの改革」というのは、現実的になかなか難しいんですよねえ・・・・
特に新王朝の場合、民主共和制を享受してきた旧同盟領の民衆も大量に内包している以上、
どう転んだって、保守派からも改革派からも叩かれる中途半端なポジションですし、
改革成功の為には絶対必要な「強力な後ろ盾」も、ラインハルト死去で不在となれば、
リアルに考えると、開明派貴族は早晩に失脚する運命を免れない気がするんです。
と言いますか、歴史的に見ると、こうした上流階層の開明派って、
有能な好人物であるほど、悲惨な末路に終わってるケースが非常に多いんですよねえ・・・・

> 西郷隆盛、前原一誠、江藤新平は確かに管理人殿の言う通りの人柄かもしれませんが、
> 一概に帝国元帥諸将と同じとは言えない気もするんですよね。
>  (中略)
> 東郷平八郎を帝国諸将に当てはめるのはちょっと違うかと私は思うのですが・・・。
>  (中略)
> 二・二六事件を始めとする陸軍の諸事件は何と言うか・・・袋小路の様な印象を受けます。

繰り替えしになってしまいますが、私は何も、
こうして挙げた人物たちが、帝国元帥たちと似ていると言っている訳ではありません。
「個人」として優れた人物であろうと、人間社会というのは組織で出来ており、
個々に置かれた立場の中で、「組織人」と振舞う事を余儀なくされるのが現実ですから、
銀英伝の世界で好意的に描かれるタイプの人間ほど、現実的にはそのギャップに堕ちてしまい、
却って組織を壊しかねない危険因子にってしまうのが、人間社会の悲哀だと言いたい訳です。
「領民からの搾取を強化するか? 部下たちの大量クビ切りとするか?」
この避けられない二者択一を迫られた時、
后妃や帝国元帥たちは、一体どういう選択をするんでしょう?

> 銀英伝で言えばそれこそマリーンドルフ父やブラッケ、リヒターらが残っていると思うのですが・・・。
> ラインハルト本人はともかくヒルダは開明派との相性は悪くないでしょうし、
> ヒルダは有る程度政治的に融通をつけられると思うのですが・・・。

個人としては良くても、やはり各人の背後には組織がありますからねえ。
そこを無視して突き通せるのは、それこそ絶対的な地位にある創業者くらいですけど、
この新政権の場合、まさにそれにあたるラインハルトが、既に故人ですからねえ・・・・
立場が変われば利害も変わりますし、組織を背負えば妥協も難しくなります。
融通をつけると言っても、八方美人で収まるような生易しい状況ではない以上、
アメとムチを上手く使い分けても尚、着地点を見出すには相当の粛清が必要になろうかと?

> アレクやフェリックスの成長物語ならばやはり仮定未来が良いと思いますよ。
この2人が作中で、どう描かれてるかは勿論知りませんけど、
健全にすくすく育つような成長物語だった場合・・・正直、私には合わないかと?
闇堕ちしろとまでは言いませんが、それ相応の苦悩は、個人的に欲しい所(笑)。
それこそフェリックスなんて、苦悩させなきゃ不自然なくらいの設定ですし。
・・・って、こうして、いろいろ設定とか考えてる方が楽しいので、
結局の所、私は「読者」よりも「作者」でありたいタイプなんでしょうね。

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